「射精恐怖」とは何か

世の中には、女性を妊娠させることの恐怖から、射精ができない人もいます。

これは、ある泌尿器科の先生が研究会で発表した症例です。

子どもが欲しいが射精障害を抱える40歳代の男性。

聞くと性知識などは普通でしたが、精液検査をしようとしたところ、精液が採取できなかったそう。

これまで、射精といえば夢精以外に経験したことはなく、オナニーはするものの、オーガズムが近づくと何となく怖くなって、手の動きを止めていたのでした。

この男性の場合は、その後オナニーのやり方を指導し、それによる射精を経験し、といったステップを踏むことにより膣内射精が可能になり、子どもにも恵まれました。

こうした「射精恐怖」も、それこそ原因は様々なようですが、やはり精神科の教科書などを紐解くと、「自らの子孫を残すことの恐怖」が引き金になっている場合があるそう。

何らかのトラウマに苛まれていたり、心の奥底に自分が父親になることに対する恐れがあったり。

あるいは、精液そのものに恐怖を覚える男性も、中にはいます。

パートナーを自分の体液で汚したくないと思うのか…。

いずれにせよ、他人には窺い知れない事情で心因性の射精障害になってしまった人たちの、悩みは尽きないのです。

AVでないとイケない男もいる

笑い話ではなく、AV(アダルトビデオ)の見すぎで射精障害になった人たちもいます。

私自身もAVをよく見ます。

半分は研究目的です。というのは大嘘で、ほとんど趣味の領域です。

そして、AVを見ながらオナニーもします。

いきなり告白しましたが、そのような経験のない男は、ほとんどいないはず。

AVを見ながらオナニーをすることそれ自体には、基本的に問題はないでしょう。

女性蔑視だとか、青少年に誤った性知識を植えつけるとか、領ける批判もありますが、性機能という観点からみてデメリットはあまり考えられません。

しかし、「AVを見ないとイケない」となると、話は別。

それはれっきとした心因性射精障害「AVアデイクション(依存)」なのです。

この症状をもう少しかみくだいて言うと、「AVを見ながらオナニーして射精することはできる。でも、実際にセックスしようとしても、うまく射精ができない。そんな姿は想像できない」ということになります。

他人の営みを客観的に見ながらならイケるけど、自分が「主人公」になろうとするとNGになってしまう、ということですね。

「AVの見すぎで…」と言いましたが、誤解がないように補足いたします。

毎日見続けたらみんなが射精障害になる、というものではないでしょう。

そこには、やはりその人の抱える何らかの「心の背景」が強く働いている、と考えるべきだと思います。

一般論としてはこんな見方もできるのではないか、と感じています。

日本は優れているがゆえに射精障害が起きやすい?

ただし一方で、今の日本は「AV天国」といってもいい状況です。

街には、様々なジャンルのエロ作品が溢れかえり、ネットを巡れば無修正の類の映像も無料で簡単に手に入ります。

加えて、日本のその手の作品は、工業製品などと同じでユーザーのニーズを的確にとらえた、「作り込まれた」ものが多い。

日本男児は、いつの間にか「オカズに不自由しない」環境に置かれていたわけです。

そうしたバーチャルのエロの充実は、ある面で「女性の敵」です。

男が、わざわざ妻や彼女とセックスしなくても性的満足を得られる状況が広がるのだから。

これも個人的見解とお断りしておきますが、床オナを生みやすい住環境とともに、このの発達が、日本で特異的に腫内エロコンテンツ(性風俗やオナニーグッズなども含めて)射精障害を増加させている二大原因ではないか、と私は考えているのです。

そうだとすると、こんなことも言えるかもしれません。

エロにせよ何にせよ、「優れた」ものは海外からも支持され、輸出されていきます。

アニメが瞬く間に世界を席巻したように、日本製エロコンテンツも、今後普及が進んでいくのではないでしょうか。

そうなると、「性の先進国病」ともいえる臆内射精障害も、これから世界規模で増加する可能性があります。

国際学会でも積極的に睦内射精障害について議論される日は案外近いかもしれない、などと考えたりもするのです。

コスプレで症状が改善した例も!?

AVにも通じますが、性的興奮の対象が「変わっている」場合にも、生身の女性とのセックスでは障害になる場合が少なくありません。

例えば、SMのような過激な映像にはまった結果、現実離れした状況でないと射精ができなくなった、といった話はよく耳にします。

女性の体の一部や衣服などに執着するフェティッシュな性的晴好も、射精障害に結びつくことがあります。

前出の私の師匠である岡田先生は、射精障害に悩む夫婦がコスプレを「導入」したら症状が改善した、という話をしていました。

「コスプレ好き」という旦那さんのフェチ的傾向を逆手に取った「治療」でしたが、とにかく治れば結果オーライ。

岡田先生日く、関西人でノリのいい夫婦だったから簡単にコスプレで治った、とおっしゃっておりましたが、関西人のほうが治療しやすいのでしょうか?

それにしても、男とは不思議な生き物です。